それを見たのは偶然、だった。
偶々野党との戦闘の最中に視界に入った金色。
美しい彼は、嗤っていた。人を斬りながら、返り血を浴びながら、嗤っていた。
どうして、嗤えるのだろう。どうして、嗤っているのだろう。彼は自分と同じ世界に住んでいたのではなかったか?自分と同じ囲われた倫理観の中で生きていたのではなかったか?
ならば、何故。
彼は決して狂気の人ではなかった。今も、彼の目が狂気に満ちた様子は無い。
なのに、何故。
自分も人を斬った事はある。けれど、たった1度も自分は嗤わなかった。嗤えなかった。
相手も自分と同じ人間なのだ。人を斬る事は、いつだって――例え自己防衛の為であっても――気分の良いものではなかった。そう、人を斬る時はいつだって罪の意識に苛まれた。それは斬った瞬間ではなく、斬った後に襲ってくる事もあった。斬る直前に襲われる事もあった。
それは人ならば、たとえ慣れたり忘れたりすることはあっても、多かれ少なかれ持っている――少なくとも1度は襲われて当然の感覚だと、思っていた。
けれど、彼は違うのだろうか。
自分の知っていた彼は、本当の彼ではなかったのだろうか。元々、嗤いながら人を斬ることのできる人間だったのだろうか。それとも彼は、闇に魅入られてしまったのだろうか。人を斬る事を嘲笑う事の出来るような人間になってしまったのだろうか。
それを知る術は、自分には無かった。