レミニセンス

 似ているだとか記憶にあるだとか、そういうことは言ってはいけない気がする。
 けれど、オレはアイツを知っているのにそれを言わないでいるのも、いけない気がした。
 彼女だってアイツのことがただ嫌いな訳じゃない筈だ。だって、アイツと彼女はこの世界にたった2人の兄妹で。その証拠に、アイツの話題になったとき彼女は時折嬉しそうな顔をするのだ。その表情に哀しみが混じるのは、仕方の無いことだとしても。
 アイツの為にも、彼女の為にも、――そしてオレの為にも、彼女とアイツを懐かしんでやるのは悪い事ではない気がする。

「…アイツは、どんなヒトだった?」
 唐突に投げ掛けられた質問にティアは幾分戸惑ったようだった。
 だがヒトという言葉に兄という意味を当てはめる事が出来たのだろう、暫くの間を開けてからその問いに答えた。
「優しい人だったわ。私が歌うと微笑んでくれた。私が泣くと、話をしてくれた」
 話?とガイが言うとティアは少しだけ、ほんの少しだけ悲しそうな顔をして笑った。そして、夢のような話だったわ、と続ける。
「とても美しい場所の話。黄色と赤の花が咲いていて、金色に輝く陽の光に溢れていて。人々は皆笑っていて、穏やかな時の流れる」
 眼を伏せて、彼女は言った。歌うように美しい声で。懐かしむように穏やかな声で。

「ガイの、思い出も。良かったら聞かせてくれないかしら…?」
「ああ、構わないよ」

 もう少しだけ、僕達にこの静かな時間を過ごさせてください。