がさり、そんな音を立てながら「やるよ」と笑顔でなにやらカラフルな箱が沢山かつ無造作に詰められたビニール袋を差し出されても、反応に困るというのが正直な所だ。
自分の誕生日は数ヶ月前である(彼の幼馴染みである中々嫌味な眼鏡の人物と間違えている訳でもあるまい)し、全く貰う理由に見当が付かない。――まあ、この人の突発的な思い付きに振り回されるのはいつものことなのだけれど。
「あのー、これは一体…?」
「菓子だな」
「それは分かりますけど」
袋から覗き見える色鮮やかなパッケージでそれは分かる。かなりポピュラーな部類に入るスティック菓子2種類だが、どうして突然それを大量にくれると言い出すのか。しかも、見える限り全てがバラバラの味のようだが。
「だからやるって」
「だから貰う理由が分からないんですって」
菓子は嫌いではないが別段好きでもない。何というか、そういったものを食べる習慣が無いのだ。それにどちらかというと、こうして菓子を差し出しているピオニーの方がこういうものを好き好んで食べている気がするのだが。
「理由はまあ強いて言うならオレがガイラルディアにやりたかったからだな。これでも納得いかないか?」
「いえ、納得…しました」
ここまですっぱり言い切られてしまうと何も言えない。そもそも固辞する必要も無いので、内心まだ腑に落ちないものを感じつつも素直に袋を受け取る。まあどうせ中身の殆どはいつものように差出人の胃の中に消えるのだろう。
「でも、どうしたんですか突然」
思い付きなのだから多分先に言われた以上の理由は無いのだろうが、それでも切っ掛けのひとつくらいあるだろうと思い問い掛ける。ピオニーのことだから、本当に全くの思い付きという可能性も捨て切れないが。
「ん、ああ何か今日はソレの日らしくてな。たまたま寄った店で色々売ってたから買った」
確かにそう言われればそんなことをCMでやっていたかも知れない、とガイは記憶を辿る。
これを渡す為だけに呼び出されたらしい。理由を考えるとあんまりな気もするが、ピオニーならそういうこともあるだろうと納得する。少なくともその位が分かる程度には彼と付き合っているつもりだ。
「んで、買ったは良いんだけどなー。1人で食うのも味気ねぇから、ガイラルディアと食おうと思ってな」
「…結局ピオニーさんが食べるんですね」
そういう人だと分かってはいるものの、こうしてはっきり告げられるのもどうかと思い苦笑する。こういう所が彼の良い所でもあるのだが。
「不満か?」
「いいえ、嬉しいですよ」
素っ気無く返しつつ心の中では、彼が『誰かと』と考えた時にすぐに自分のことを考えてくれたことを、とても嬉しいと感じる。それを直接伝えれば、きっと調子に乗るだろうから言うことはないけれど。
「そうか」
そう言うとピオニーは嬉しそうにぐしゃぐしゃとガイの頭を撫でた。