欲求があるなら飲み込まずに言えとジェイドはよく言うけれど、その実ジェイド自身もあまり欲求を口にすることはない。
欲求と言っても、食べたいだとか眠りたいだとか抱きたいだとか、そんな程度の事は流石にジェイドも口にする。オレだってその位のことは言う。
そうではなくもっと深い所から来るもの。独り善がりになりかねないと解っていながら衝動のように襲う欲求。欲求という言葉が不適切であれば、願望とでも言おうか。
抱き締めたいだとかもっと欲しいだとかこのままで居たいだとか、そういうものをジェイドが口にすることはなかった。
最早定型句になりつつある「我慢しないで言ってください」というジェイドの言葉を聞きながら途切れ途切れになりつつもそのことを指摘すると、何故だかジェイドは可笑しそうに――だがとても綺麗に笑った。
何が可笑しいのだと少し苛立ちながら目で訪ねる。ジェイドがオレに我慢して欲しくないように、オレだってジェイドに我慢なんてして欲くないのだ。どうにかして出来る限り叶えたいなんて思っているのに、何故其処で笑う。
「いえ、私の願いは大抵叶ってしまいますから」
そう、ジェイドは珍しく揶揄するようなこともからかうようなことも言わず、酷く幸せそうに微笑んだ。
なんだそれは。と不満を口に出すが、ジェイドは嬉しそうに笑うだけだった。
教えろよと口にしようとすると、微笑みながら突き上げを強く深くして来る。
「愛していますよ、ガイ」
その言葉とジェイドの表情に流されて、分からなくてもまあいいかと思ってしまう。
ジェイドの願いが叶っているにしてもそうでないにしても、願いが何であるかは結局教えてくれる気はないらしい。ずるい奴め。