ガイと恋人という関係になってから幾年かが過ぎたが、最近気付いた彼の変わった行為がある。
夏場になると暑いと言いつつやたらと此方にくっついて来るのだ。
一応恋人であるのだから不自然な行為ではないのだろうが、くっついて来るのは夏場だけであり、冬場はくっついて来ることはなく寒いと言っては一人で暖を取っている。逆ではないのか、と思うと同時にもしやこれは彼のささやかな嫌がらせなのかも知れないと思う。自爆極まりない行為だが、その位しないと嫌がらせにならないと考えたのかも知れない。
今年もシャドウデーカンに入り、段々と気温が上がって来ている。少々の蒸し暑さを覚えつつ、無言で此方に寄り掛かっているガイの体重を受け止めながらそんな事を考えていると声を掛けられた。
「暑くないのか」
「夏ではないとはいえそれなりに暑いですよ」
率直に返すとガイは「ふーん」と気の無い返事をしてそのまま黙ってしまった。
似たようなやりとりを数年間で何度かしたが、未だにガイの意図が正しく読めないでいる。
「貴方こそ暑くないんですか」
「暑い」
端的な答えを証明するように、ガイの肌はじとりと少しばかり汗ばんでいた。
それでもガイは此方から離れる気はないらしく、身体を動かさないままもう一度暑いと呟く。
「暑いのを我慢してこうする位なら、冬にこうすれば良いじゃないですか」
暖もとれて一石二鳥ですよ、と言うとガイは拗ねたような顔をして口を開いた。
「寒い時にこんなことしたら甘えてるみたいじゃないか」
ガイの言葉で漸くこの行為に対して納得の行く答えが見付かり、何とも可愛らしいことを言ってくれるではないかと笑みを浮かべる。
元々そう不快に思っていなかった暑さではあったが、今はもう全く気にならなかった。暑さすら愛おしいと思うのだから自分も大概だろう。
「甘えてるみたいでも良いじゃないですか」
「そういうのは遠慮するよ」
「まあそんなこと言わずに」
「大体今は冬じゃないだろう」
他愛のない問答を続けながら、今年の冬は自分がガイにくっついてみようか等と密かに計画を立てた。