「報われない愛なんて、愛が全て報われると信じてる夢見がちな人間が言った戯言だ。愛なんてみんな報われないものなんだから。そうだろ?それともアンタは誰かを愛して報われたことがあるのかい?」
ある訳が無い、とは言わなかった。――言えなかった。私が心底愛したのは目の前に居る彼が初めてなのだから。
そして、彼を愛したとて私が決して報われないことは明白であった。当然だろう。彼が唯一愛を向けるのはこの世界にはもう居ない人物に他ならない。
返らぬ愛を報われぬ愛だとするならば、亡き人だけを愛する彼も、そんな彼だけを愛する私も、何ら変わらないと云えた。
だから例え彼の断定が間違いであるとしても、私には彼に意を唱えることが出来ないのである。反論するに必要な経験が無いのだから、私には彼の主張を感受する以外何も出来ない。
――だからこそ、少なくとも彼の主張は私達2人に関しては全くの真実であった。
嗚呼、何と救い様の無い循環であろうか!この想いを抱き続ける限り私達は決して救われる事は無く、そして互いにこの想いを捨てる事など出来はしないのだから。
それで、僕らは永遠に
一方方向の愛を抱いて生きて行くのだろう。